2009年9月19日土曜日

ARG定義とのその特徴的効果

すみません。
ずっと放置してました。
ARGとはなんたるか、の研究室的な見解をまとめておきます。
何かの参考、あるいは思考の整理に使って頂ければ、と思います。

※これがあるからといって何か猛烈に役に立つという話じゃないとは思います。

ARGとは何か。


ARGとは、言葉であらわすと、
『フィクション世界の情報を断片化し、
日常的に利用するメディア郡を通じて分散的に配信する、
新しいクロスメディア手法、あるいはそれを活用したエンターテイメントの事』
です。

これは、ARGというものを広義に定義づけ、
又ARGの機能的要素に焦点を絞り、その効果(代替現実感等)を要素に含めずに定義する事によって、その他類似の手法と一線を引く為のものです。

ここより、
1つ1つの要素を順を追って説明致します。

まずこのARG定義と、その効果の関係についてですが、
研究会としては以下の様に考えています。

これはつまり、
ARGの定義にある機能的要素が、
結果的にARGの特徴的な効果を生み出しやすい、
という結論です。

この、代替現実感やマスコラボレーションの要素をあえて定義の中に入れなかった理由と致しましては、評価指標が非常に曖昧で定量的にはかりずらく、
そもそも測る事にあまり意味が無い(ARGかそうでないか、という話は事ビジネス的にはなんの関係もない)ので、「定義」と「効果」を別ものとして考えている、という経緯があります。

ARGの機能的要素①『情報の断片化』


ここからは、従来型とARG型との比較でご説明します。


これまでのコンテンツは、例えばゲームにしても漫画にしても小説にしても、
基本的にはその一連の起承転結というものが1つのメディア上で完結しているのが通例でした。
スピンオフ作品や関連製品はもちろんありましたが、
それらは単体でも起承転結が完結しており、本体作品が無ければ成り立たないという構成にはなっていない事が普通です。
ARG型はそうではなく、
あえて1つ1つの事象をものすごい細かさに断片化します。
それらは決して単体だけでは面白いものでもなんでもなく、
それだけを見たら前後も文脈も何もないので、ただ情報にしかすぎません。


ARGの機能的要素②『情報の日常メディアへの分散配信』



それら断片化された情報を、様々な日常接触メディアへ分散配信します。
これは、従来型のクロスメディアと違い、
1つ1つが不完全な半製品であり、ユーザー達が協力して1つのコンテンツを作り上げて行く必要があります。
ここに、ARGの特徴的な効果を生み出す最大のエンターテイメント要素があるといっても過言ではありません。


ARGの特徴的効果


効果は以下の2つです。


まず一点目の「代替現実感」についてですが、
この感覚を生み出す仕組みを、研究会としては以下の様に考えています。

この仕組みは、通常人がどういう風に現実世界の情報を取得し、
実感しているかというところのプロセスに着目し至った結論です。

通常人は、様々な現実世界でのニュース、出来事を、
新聞や携帯電話、テレビ、インターネット、街のデジタルメディア、等の様々なメディアを通事て取得します。
そしてその接触回数が高ければ高い程、
又違うメディアからの情報流入があればある程、
記憶にすりこまれ、現実感が湧きます。(日常の情報として身体にすりこまれます)

このプロセスに着目し、
日常的接触するメディアに対して、フィクション情報を配信していく(情報の分散配信)ことが、あたかもフィクション世界が現実の事かのような「錯覚」の創出に繋がる、というのが、
ARGの代表的な効果なのであります。


二点目の『様々なバックグランドを持った人々のマスコラボレーション』
の説明をします。

これは単純に、断片化された情報が数多存在し、
またその中に一般人が一人では中々クリアする事が出来ないような仕掛けが施されているので、結果的に人が人を呼び、様々な方面から人間が集まって来るという社会工学的現象が起こるという事です。
この度合いに関しては、ARGの性格にもよりますので、
全てが全て超大型マルチプレイヤーゲームという訳ではありませんが、
共通して「一人では完結し得ない」という特徴があります。

彼らは古典的には主にフォーラムや掲示板、wiki、等で集い意見交換をしたり、
まとめサイトを構築したりといった活動を行ないますが、
現在のトレンド、又近い将来的には、ソーシャルメディア(google、facebook,twitter、日本ではmixi等)をよりARGの中心据えて来るものが登場すると思います。
(現在すでに試験的に取り入れているものも多くあります。
が、まだまだ100%活用しきれているとは言えないと思います。)


最後に


これらの定義、要素、特徴等は、
是非事例研究の際にフレームワークとしてご利用頂ければと思います。

又、ARGの登場背景に、
Web2.0ブーム、
デジタルネイティブの台頭、
デジタルメディアの多様化
があったように、
今後のARGも、Webを中心する外部環境によって様々な進化を遂げると考えます。

我々研究会は今年、
このARGを地域活性や観光方面への応用、
そして将来的に実用可能となるハイテク機器とのコラボレーションの可能性を探る研究をトライアル型で実施していきます。
こちらに関しても、
研究のおりにご報告したいと思います。

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