2009年12月24日木曜日

【告知】下北沢で、リアルRPGイベント開催!!

タイトル 新感覚リアルRPG「ぼくらのシモキタストーリー」

概要 新しい形の参加型エンターテイメントARGの実証トライアル。ARGイベントと地域観光との親和性、観光商品への可能性を検証と日本国内でのARG製作への経験・方法論の蓄積が目的。

日程 201019日(土)、10日(日) 

■開始時間 14時予定

所要時間 約3時間

参加費 無料

場所 下北沢駅周辺地域

主催 慶應義塾大学経済学部「武山政直研究会ARGチーム」

公式ブログ http://keg-arg-2009.blogspot.com/

協力 しもきた商店街振興組合下北沢南口商店街振興組合下北沢商店連合会ヨクキタ!シモキタ!

参加方法 keg.arg2009@gmail.com宛に以下の項目を送信して下さい。

氏名(複数人での参加の場合全員の氏名をお願いします)

携帯メールアドレス(PCからの転送される場合、PCアドレス可)(複数人での参加の場合、それぞれのアドレスをお願いします)

携帯電話の番号(複数人での参加の場合、全員の番号をお願いします)

希望曜日(土or日)

所属(大学、会社、組織、等)

質問など

注意事項 

参加者は、両日共に【抽選】とさせていただきました。ご了承ください。発表は14日(月)です。※現在も参加者は募集しております。どうぞご連絡下さい。

イベント中は約5人程で回遊していただく事になります。

イベント中は参加者の携帯端末のメール機能を使用するので、受信フィルタを設定している方には、特定のドメインからの設定をお願いする場合があります。

イベント内容は土曜、日曜と個々に完結する内容になっております。どちらか一方の日程でご参加ください。また土曜日に参加される方は「ネタばれ」にあたる行為はご遠慮ください。(twitterなど)

⑤ゲーム中に、参加者同士のメールアドレス、電話番号が必要になります。個人情報は固くお守り致しますが、個人情報の使用をどうしてもさけたい方は、大変申し訳ございませんが、ご参加をご遠慮頂きます。

2009年10月24日土曜日

告知

友達がとても素敵な活動をしていたので、
告知活動を支援したいと思います。
皆様、ご協力下さい!!



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(以下告知)
はじめまして、チャリティーサンタという企画をしている「ハッピー☆スター」と申します☆

ホームページはこちら
http://www.charity-santa.com/2009/02/post.html

http://-happy-star-.seesaa.net/


活動内容は、クリスマスイブの夜に親御さんからお預かりしたプレゼントをハッピースターのスタッフが、サンタクロースに扮して各家庭に届けるということが一つ。こちらは事前にインターネットで小さい子のいる家庭に募集をかけます。その際親御さんからチャリティーとして2000円いただきます。

ではその2000円はどうするのか??


それが2つめの活動で、そのチャリティーのお金で、今年はバングラデシュにストリートチルドレンからリーダーを育て、実際の社会の中で仕事をするための職業訓練施設を建てます。2月ころに何人かのスタッフが、現地のNGO団体エクマットラと協力し実際に学校を建てる手伝いをします。
NGO団体エクマットラのホームページ
http://www.ekmattra.org/JAP/T1about/index.htm


2008年から活動のまだ歴史は浅い団体ですが、去年は東京、埼玉、大阪の約140件のお宅を訪問いたしました。

そしてフィリピンのごみ山の近くに住む子供たちのために長靴100足と、本400冊をプレゼントしてきました。


2009年は札幌、仙台、山梨、大宮、船橋、東京23区、八王子、湘南、京都、大阪、岡山、香川、宮崎と拠点を増やし、1000件から2000件を目標として進めています!!


しかしいくらやる気があっても絶対的に足りないものがあります・・・



それは「サンタの衣装」です!!!


去年はギリギリで無料で貸し出してくれた団体や、足りない分は100円均一のもので間に合わせたのですが、レンタルだと汚してしまう、100円のものだと破れやすいなど様々な問題が生じました・・・・


そこで


もしよろしかったら家や学校、バイト先や会社などに眠っているサンタの衣装を譲っていただけませんか???


上記の通りレンタルではなく、もらうという形になり100円のものも強度に問題があるので除外させていただくのですが・・・


もし持っていて今年使う予定がないならば、私たちに譲っていただけませんか??一着や二着でも大歓迎です!!

全国でも最低500着、理想は1500着必要です!!


もし自分が持っていなくても、友達や親、同僚の方などに聞いてみていただけたらありがたいです!!そうやって輪が広がっていけば決して無理な数字ではないと思っています!


チャリティーとしてお金をもらうなら、そこから出せばいいのでは??と思われるかもしれませんが、チャリティーで集まったお金は出来る限りバングラデシュの支援費に回したいのでよろしくお願いします


サンタの衣装が一着あれば、5件のお宅に訪問できます。そのお宅に子供が2人ずついたとすれば、たった一着のサンタの衣装で10人の子供に夢が与えられます。

サンタをやりたい!!という方や、家に来てほしい!!という親御さんも大歓迎です!!

詳しくはこちらまで
ハッピー☆スターのコミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=3759500


衣装譲っていただける方、心当たりのある方
http://mixi.jp/show_friend.pl?id=3125106
までメッセージお気軽にお願いします!

最後まで読んでいただきありがとうございました

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2009年10月20日火曜日

ソーシャル性の価値とは(1)

(編集中。今後も再編集を繰り返して行く予定)

様々な切り口からソーシャル性の価値が語られているが、
今日は、今一度ウェブというものをマクロに見た時に、
そこから得られる価値(便益)を仮に※「ウェブ総生産」と呼ぶとするならば、
ソーシャル性というものがどのような意味を持っているのかについて書く。

数少ない読者の方々の意見を聞きたいという意味でも、
私のまだ生まれたてで形容する言葉が見当たらないくらい不完全な仮説を公開する事で、
ブラッシュアップしたいと思う。

※ウェブ総生産とはより定義的に書くと、
文字通り
ウェブ総生産=一定期間内にウェブで産み出された全ての付加価値の総計」
という事になるだろう。

ウェブ総生産の大部分は、集団としての価値が発揮されているサービスによるものだとしたら


仮に、
ウェブというものが我々に与えてくれる価値(ウェブ総生産)の大部分が、
アマゾン、itunes、eBay、Google、Yahoo!、はてな、flickr、等を始めとした、
「ユーザー一人一人の消費、及び生産活動(検索したり、音楽を聞いたり、写真をあげたり、口コミをしたり、タグをつけたり、OpenAPIを使ってアプリを作ったり)が創造活動として価値を持ち、それによって集団としての価値(集団による価値であり、集団への価値)を生んでいるサービスによって構成されているとしよう。

ここでは、
個人個人の活動、そして活動履歴を含めた個人のプロフィールが大きな意味を持つ事、
又、その様な集団としての価値が、結果として集団の知恵(集合知)の発展を促し、さらなる価値を生み出す事も、なんとなくイメージして頂けると思う。

メディアコンサルタントのジェフ・ジャービスがウィキノミクスで語るように、
この集団の知恵こそが、コンテンツを見つける時、探したい情報を検索したり整理したい時、あるいは広告の効果を高める為に役立つ。
※集団の知恵には、例えば数あるブログ記事の中でもどれが最も有意義なのかを知る為の個人個人のタグ付け行為等が入る。
これの発展というのは、私の解釈では、
集団における個の数としての発展と、個による活動のクオリティーとしての発展の両方を意味する。

だとすれば、ソーシャル性の持つマクロ的な意味での生産価値とは、
基本的には個別に存在するという事が前提における個人の集合体が生み出す価値に加え、
「人と人とのつながり、関係性」という、新たな価値を付加した
と位置づけられるのでは無いか。
つまり、ソーシャル性という新たな要素が加わった事によって、
マクロ的に見た、ウェブが我々に提供しうる価値(ウェブ総生産)が増幅した
という結論に至る。
しかも、ただ増幅しただけでなく、
革新的に、ドラスティックなウェブの変化を持ってしてその生産価値を増幅させていると私は考える。
それは、Web2.0の時代の到来がウェブに与えたインパクトと同等か、
それ以上の影響があるとさえ思う。

それくらい、人と人とのつながりという要素は、様々な形で価値提供をしうる、
あるいはすでにしていると思う。



ソーシャル性が付加する新たな価値とは?


例えば、同じ情報でも、
ソーシャルグラフ的にみて信頼性の高い人が発信している情報と、
情報提供者である個人に対して、その人のウェブ上における信頼度を測る上で必要な情報が無い人が発信している情報とで比べると、
明らかに前者の方が、情報の信頼性、信憑性等のクオリティーに関して、より高いものが期待出来る。
匿名の誰かよりも、例えば分かりやすいところで、
多くのネット関係者に情報源として支持されるループスコミュニケーションズの斉藤さんの記事やつぶやきは、匿名のネットに詳しそうな誰か、よりも信頼性が高いと言える。
もしも斉藤さんの提供する情報が、仮に彼の会社の信頼度によって担保されているとしても、
例えば同じ様なデモグラとサイグラを持つ二人の学生がいた場合、
より多くの人からフォローされていたり、
そのフォロワー達がそれなりにリテラシーのある人間が多い場合、
その学生からの情報への信頼度や期待度はもう一方の学生よりも相対的に高まると考える。

ここでいうソーシャルグラフ的にみて信頼性の高い人というのは、
数的に多くの人とつながりを持ち、
より多くの人達のコミュニケーションを取っているというステータスだったり、
またその様なソーシャル性の高い人とどれくらい繋がっているのか、
どれほどコミュニケーションをとっているか、等の項目によって語られる。
また今回は事例が情報収集に関してなので、
情報収集をしている個人にとって、情報提供者がその特定のテーマに関して、どれ程発言しているかと同時に、どれほどその分野で信頼性の高い他の個人とつながりを持っているのかも重要な要素となると考える。
(他にも項目はあるかもしれないので、是非多くの意見を伺いたい。)

又、情報収集という活動に関して更に違うシーンを考えると、
人と人とのつながりによって、個人個人が自らの手を動かして多くのアンテナを張る際にかかるコスト(時間)が格段に削減されたと強く思う。
これまでは、興味分野の情報を得る為に、非常に多くのアンテナを張る必要があった。
例えば医療や教育という情報が溢れている分野に関しては、
一本どころが数10本、数100本のアンテナを張る必要があった。
(専門メディアや専門家の書くブログをはじめとした個人メディア等の情報を個別に取得する、という意味での「アンテナ張り」)


しかし今は、誰か数人の情報発信者とつながれば、
より効率的に優良な情報を取得する事が出来る可能性が高い。
自分でネットを彷徨わなくても、同じ様にアンテナを張っている個人とつながれば、
彼らは勝手に独自の情報網からの情報を集めて発信してくれるからである。


これらはあくまで数多くあるソーシャル性が私たちにウェブを通じて提供してくれる価値の一部である。

結論


そもそもウェブ総生産なるものが構成する要素と、その比率に関する議論をもっと深くする事が求められるが、仮に上記の様な仮説に基づき思考すると、結論は以下の様になる。

繰り返すもソーシャル性は、マクロ的に見た、ウェブが我々に提供しうる価値
『ウェブ総生産』を増幅させた。
それも世界をドラスティックに革新させうるインパクトを持って。
それは、
今まで基本的に個別に存在するという事が前提にあった個人の集合体が生み出す価値に加え、
「人と人とのつながり、関係性」という、新たな要素を付加し、
つながりを持つ事を前提とした個人の集合体が生み出す価値を創出した事による。



皆様の意見を踏まえた上で、また更に思考したいと思います。
ご意見をお待ちしております。

ularatter

2009年9月30日水曜日

mixiアプリ現状をみて。

mixiアプリの現状を分析しようと思ったら、
すでにウノウの山田さんがブログにまとめて下さっていたので、
拝借。

ウェブサービスにはネットワーク外部性というものが付き物ですが、
ソーシャルグラフを活用したアプリを提供するという戦略が、
今もっとも素早くたくさんの人にサービスを経験して貰う事に繋がる事は明らかですね。
ピグが最初の四ヶ月半でやっと50万人(2009年7月)だっていうのに、
一ヶ月でサンシャイン牧場は80万人越えという。
ピグはアイテム課金等々で月数千万の売上げらしいけれど、
当然それと同じだけのビジネスチャンスがアプリにもあるわけです。
facebookにしてもmixiにしても、
このソーシャルアプリ市場の急激な拡大には、毎度毎度唖然としちゃいますね。


以下、ウノウ社長の山田さんのブログより引用。
ほんと、ソーシャルゲームには期待しちゃいます。
ソーシャルグラフに、と言った方が適切かもですが。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(以下引用)
http://suadd.com/wp/blog/455


前回2週間後の様子をみましたが、今日で丸1ヶ月ということでどんな様子か見てみたいと思います。各順位はアプリランキングから拝借してます。

<アプリ別ランキング>

1. 1位 814324 サンシャイン牧場(Rekoo)
2. 2位 622563 通信制 脳力大学-漢字テスト(株式会社ドリコム)
3. 3位 328082 マイミクテトリス(テトリスオンライン)
4. 4位 305747 マイミク通信簿(空飛ぶ)
5. 5位 291562 記憶スケッチ(株式会社REAL)
6. 6位 285295 みんなの農園(RAKOO)
7. 7位 226440 RockYou! スピード★レーシング(ロックユーアジア)
8. 8位 208942 みん顔!(株式会社サイバード)
9. 9位 187753 グラディウス(KONAMI)
10. 10位 126159 四則演算ゲーム(アルカーナ株式会社)

前回1位だったドリコム「漢字テスト」が2位に後退し、1位はなんと日本では無名の中国ベンチャーのRekoo(僕は北京で会いました)のソーシャルゲーム「サンシャイン牧場」。前回はトップ10にも入ってなかったのでユーザーを約80万人も増やして圧倒的な強さを見せています。同じ農場系の「みんなの農園」は28万と17万人も増やしたものの順位は一つあげて6位になったのみとなっています。その他、ソーシャルゲームとしてはRockYouの「スピード★レーシング」も圏外から7位に浮上しており、今後に期待が持てそうです。

一方で、「テトリス」「みん顔!」「グラディウス」などはやや失速しており、「脳内メーカー」「つながりマップ」は圏外になりました。全体としてマイミクをうまく絡めたソーシャル要素の高いものが人気になりつつあるようです。

<作者別ランキング>

1. 1位 841848 株式会社ドリコム
2. 2位 814324 Rekoo
3. 3位 532327 空飛ぶ
4. 4位 374306 ロックユーアジア
5. 5位 328082 テトリスオンライン
6. 6位 299120 HEROZ(株)
7. 7位 291562 株式会社REAL
8. 8位 285295 RAKOO
9. 9位 208942 株式会社サイバード
10. 10位 187753 KONAMI

1位は約50万人から84万人に伸ばした「ドリコム」が守りましたが、ユーザー増加率はやや鈍化しています。そして「サンシャイン牧場」を当てた Rekooが一気に2位となっており、このまま1位となりそうな勢いです。「空飛ぶ」は3位に後退したものの2倍強、ロックユーアジアも2倍弱の伸びとなっています。

その他、アプリ別ランキングには入らなかったものの複数のクイズ系アプリを展開するHEROZ(株)がランクインしてきています。一方、「plug」「Community Factory」が圏外となっています。

<総括>
・2週間で50万だったので、1ヶ月なら100万人いけるかと期待していたのですが、残念ながら84万に留まりました。ただ、それでも素晴らしい数字です。
・むしろ基準値としては、1ヶ月で10万人以上を集めたの13社もあったというのが適切かもしれません。1万人以上ともなると51社もあります。これは参入会社数の割には非常によい市場だと考えられると思います。
・前回、ソーシャルゲームは時期尚早か?と書いたのですが、「サンシャイン牧場」がすべてをひっくり返しました。「RockYou! スピード★レーシング」も好調のようですし、すべてはアプリ次第というわけですね。まだまだ今後も変動がありそうです。
・いよいよmixiアプリモバイルが公開されますね! 本命はこちらとばかりに準備をしている会社さんも多いことでしょう(ウノウももちろん参入します!)。非常に楽しみです。

2009年9月20日日曜日

世界を変えるはずだった事を忘れたのか。Techcrunch50からの印象的な記事。

先日、毎年恒例のTechcrunch50が幕を閉じた。
たまたまインターン先のタスクで、
今後台頭してきそうなサービスを探すというものがあったので、
私も猛烈な時間を割いて動画と説明文を読んでいた。

たまたまその時は、
特にfacebookに関連したサービスで猛烈に革新的なものがないか探していたのだが、
ない。
ないってまぁ、私自身そんなに革新的なサービスを考えついた事があるわけではないのであまり強くは言えないのだが、
上司に胸を張って紹介出来るようなサービスがあまり無かったのをよく覚えている。
(にも関わらず無いか無いかと探すから猛烈に時間をくうのだが)

そんなこんなでこの記事。
スタートアップに贈る言葉:世界を変えるはずだったことを忘れたのか?

この記事に書かれていた事と、ほぼ全く同感だったのである。

私は、TechCrunch50に参加した殆どのエキスパートたちを、舞台裏でインタビューした。みんなには、ここでデビューするスタートアップに対する共通の不満があった。情熱が足りない、失敗を恐れすぎる、世界を変えようとする気持ちが足りない。堅実な会業を作ろうとする人が多すぎる、今ある物を少しだけ改善しようとする会社が多すぎる。



そう、今年は本当に、
「ありそうだよね」「それ、なかったんだ、へー」
くらいのものしか無かった。

唯一、自分の研究室の他班にも共有しなきゃ!と思わせ、
結構興奮させたのはCitysoursedと、Centrlだ。
特に前者は行政への影響力を持つという点で生活と世界を変えうる力を持っていると思う。

(以下Citysourcedの説明抜粋)
穴の空いた道路や壁いっぱいの落書きを見て、帰ってから役所に手紙を書いたりメールしたりするのではなく、直ちに問題を報告したいと考えることはないだろうか。TechCrunch 50に登場したスタートアップのCitySourcedは、携帯電話からこうした問題を報告するためのアプリケーション群を提供している。つまり生活シーンに現れる問題をクラウドソースで集めようと狙っているわけだ。


Techcrunchの記事にはかなり心を打たれたので、ここに引用しておく。
Reid HoffmanやSean Parkerといったウェブビジョナリーたちは、今回のステージでポジティブなフィードバックを返すのに苦心していた。「およそどんなスタートアップを見ても興奮する」と自称するRobert Scobleでさえ、退屈のあまり、Paul CarrとTwitter経由でHangmanゲームをしていた。Marc Andreessenが褒めていたUdorseは、これが成功したら世界のためにならない、と彼に言わせた会社だが、少なくとも新しいアイディアではあった。Tim O’Reillyは、自分が審査した会社の一つであるCocodotについて、成功しようが失敗しようがどうでもいい、世界にとって何の意味もないから、と言った。そして、Tony Hsiehはこう言い切った、「世界を変えようとしているものは見当たらなかった」。

重大な例外が CitySourced。Kevin Roseを興奮させた会社で、理由はまさに、これまでに存在していなものを作って、人々の生活に大きな変化をもたらそうとしているからだった。2日間のイベントの中で、エキスパートが一番興奮したのを見たのが、この時だった。【訳者注:CitySourcedの発表記事(日本語訳)はこちら】

こんなことを言って、このカンファレンスや選考基準にケチをつけるつもりはない。しかし、あまりにも舞台裏でよく聞いたので、無視することはできない。正直なところ、こうなることが予想されたスタートアップサイクルに入って来ているのかもしれない。シリコンバレーに倦怠感が漂い、殆どの新会社が安全に立ち振舞うことを考えている。全く同じことを2001~2002年にも見た。当時も今も、プレス関係者はこの手のことを「感受性」が高いとか「賢い」などと持ち上げる。嘲るようなリード文は「シリコンバレーは利益を思い出せ」など、それ見たことか的論調だ。

こういう連中は、シリコンバレーのことも、すばらしいスタートアップをすばらしくするのが何であるかもわかっていない。これは、Facebookと Twitterが巨額の資金を手に入れて、膨大なユーザーを獲得したのを見て、初めて記事にするのと同じ人たちだ。「感受性」の美徳を賛美するような人たちが、次の偉大な企業の中心人物になることは決してない。プレスであれVCであれ、次の波に乗るには遅い。今の波でもそうだったように。しかし、われわれのカンファレンスのエキスパートたちは、それを理解していたからこそ、殆どがうならされることなく帰っていたのだ。

これが重要である理由はこうだ。スタートアップは当然のことながら、そこに明らかな市場機会があっても、そこに立ち向かうための経験も市場でのポジションも資金も資源もない。彼らのやろうとしていることが、事業として明らかに理にかなっていれば、もっと大きくて、有利な位置にいる企業がやっているはずだ。スタートアップの持つ唯一の武器は、昔ながらのビジネス形態や既成概念に捉われず、いわば常軌を逸して物事に取り組めることだ。

今どこかに、未来の大企業を作ろうとしている起業家がいる。ただし、きっとそれは不安定なサイドプロジェクトの類で、誰も、その起業家自身さえも、それが次に来る大事件であることに気付いていない。それこそが、来年われわれが壇上に引っ張り上げなくてはならない人だ。

10年後にTechCrunch50を振り返って、ここの優勝者が次々と$100M(1億ドル)のイグジットに成功していく姿を見たくはない。最もエキサイティングなスタートアップを発掘するためのカンファレンスとしては、それでは失敗なのだ。私が見たいのは、大規模かつ大胆不敵な失敗と、大規模かつ華々しい成功だ。私が心配しているのは、われわれがカンファレンスとして安全にやりすぎると、AndreessenやHsieh、Tim O’Reilly、Reid Hoffmanらの関心を失うことになり、ついには、イベントの最後には自分たちの生活を変えれくれる何かを見られることを期待して、座り心地の悪い椅子に張りついていてくれた聴衆たちからさえも見放されてしまうことだ。



不況という現実、
調達しにくい資金、
いくらなんでもこの状況下で、派手に死ぬか、派手に咲け!
と言われても。。。という出場者の気持ちはものすごい分かるが、
もしもTechcrunch50というものが、
そういう恐れ知らずな天才的愚者達を受け入れてくれる文化の下にあるのだとしたら、
いつか自分も出てみたいなぁと思うのでした。

はぁーー
頑張らないと!!!!!!!!!

日本の大学生のレベルの低さは尋常じゃない事は理解しているつもりなので、
自覚を持って毎日取り組まなきゃ、世界では戦って行けないですね。
夢を大きく持ちながら、日々精進しなくては、と思う夜中でした。

2009年9月19日土曜日

ARG定義とのその特徴的効果

すみません。
ずっと放置してました。
ARGとはなんたるか、の研究室的な見解をまとめておきます。
何かの参考、あるいは思考の整理に使って頂ければ、と思います。

※これがあるからといって何か猛烈に役に立つという話じゃないとは思います。

ARGとは何か。


ARGとは、言葉であらわすと、
『フィクション世界の情報を断片化し、
日常的に利用するメディア郡を通じて分散的に配信する、
新しいクロスメディア手法、あるいはそれを活用したエンターテイメントの事』
です。

これは、ARGというものを広義に定義づけ、
又ARGの機能的要素に焦点を絞り、その効果(代替現実感等)を要素に含めずに定義する事によって、その他類似の手法と一線を引く為のものです。

ここより、
1つ1つの要素を順を追って説明致します。

まずこのARG定義と、その効果の関係についてですが、
研究会としては以下の様に考えています。

これはつまり、
ARGの定義にある機能的要素が、
結果的にARGの特徴的な効果を生み出しやすい、
という結論です。

この、代替現実感やマスコラボレーションの要素をあえて定義の中に入れなかった理由と致しましては、評価指標が非常に曖昧で定量的にはかりずらく、
そもそも測る事にあまり意味が無い(ARGかそうでないか、という話は事ビジネス的にはなんの関係もない)ので、「定義」と「効果」を別ものとして考えている、という経緯があります。

ARGの機能的要素①『情報の断片化』


ここからは、従来型とARG型との比較でご説明します。


これまでのコンテンツは、例えばゲームにしても漫画にしても小説にしても、
基本的にはその一連の起承転結というものが1つのメディア上で完結しているのが通例でした。
スピンオフ作品や関連製品はもちろんありましたが、
それらは単体でも起承転結が完結しており、本体作品が無ければ成り立たないという構成にはなっていない事が普通です。
ARG型はそうではなく、
あえて1つ1つの事象をものすごい細かさに断片化します。
それらは決して単体だけでは面白いものでもなんでもなく、
それだけを見たら前後も文脈も何もないので、ただ情報にしかすぎません。


ARGの機能的要素②『情報の日常メディアへの分散配信』



それら断片化された情報を、様々な日常接触メディアへ分散配信します。
これは、従来型のクロスメディアと違い、
1つ1つが不完全な半製品であり、ユーザー達が協力して1つのコンテンツを作り上げて行く必要があります。
ここに、ARGの特徴的な効果を生み出す最大のエンターテイメント要素があるといっても過言ではありません。


ARGの特徴的効果


効果は以下の2つです。


まず一点目の「代替現実感」についてですが、
この感覚を生み出す仕組みを、研究会としては以下の様に考えています。

この仕組みは、通常人がどういう風に現実世界の情報を取得し、
実感しているかというところのプロセスに着目し至った結論です。

通常人は、様々な現実世界でのニュース、出来事を、
新聞や携帯電話、テレビ、インターネット、街のデジタルメディア、等の様々なメディアを通事て取得します。
そしてその接触回数が高ければ高い程、
又違うメディアからの情報流入があればある程、
記憶にすりこまれ、現実感が湧きます。(日常の情報として身体にすりこまれます)

このプロセスに着目し、
日常的接触するメディアに対して、フィクション情報を配信していく(情報の分散配信)ことが、あたかもフィクション世界が現実の事かのような「錯覚」の創出に繋がる、というのが、
ARGの代表的な効果なのであります。


二点目の『様々なバックグランドを持った人々のマスコラボレーション』
の説明をします。

これは単純に、断片化された情報が数多存在し、
またその中に一般人が一人では中々クリアする事が出来ないような仕掛けが施されているので、結果的に人が人を呼び、様々な方面から人間が集まって来るという社会工学的現象が起こるという事です。
この度合いに関しては、ARGの性格にもよりますので、
全てが全て超大型マルチプレイヤーゲームという訳ではありませんが、
共通して「一人では完結し得ない」という特徴があります。

彼らは古典的には主にフォーラムや掲示板、wiki、等で集い意見交換をしたり、
まとめサイトを構築したりといった活動を行ないますが、
現在のトレンド、又近い将来的には、ソーシャルメディア(google、facebook,twitter、日本ではmixi等)をよりARGの中心据えて来るものが登場すると思います。
(現在すでに試験的に取り入れているものも多くあります。
が、まだまだ100%活用しきれているとは言えないと思います。)


最後に


これらの定義、要素、特徴等は、
是非事例研究の際にフレームワークとしてご利用頂ければと思います。

又、ARGの登場背景に、
Web2.0ブーム、
デジタルネイティブの台頭、
デジタルメディアの多様化
があったように、
今後のARGも、Webを中心する外部環境によって様々な進化を遂げると考えます。

我々研究会は今年、
このARGを地域活性や観光方面への応用、
そして将来的に実用可能となるハイテク機器とのコラボレーションの可能性を探る研究をトライアル型で実施していきます。
こちらに関しても、
研究のおりにご報告したいと思います。

2009年9月8日火曜日

今期中間報告終了

本日、今期武山研究会の中間報告が終了しました。

内容と致しましては、
これまでの活動報告(ARG事例考察や、共同研究提案活動等)
又この度ご一緒させて頂く事になりそうな研究パートナーさんとの、
研究の方向性について共有させて頂きました。


さてほんの少しの間ですが提案活動してて思ったのが、
やはり現場の声を聞くっていう事が、
非常に月並みですが大事なんだなぁという事です。
研究とかなんとか言って、
大学生は学校にひきこもりがちですが、
特に私たちの様な実践重視のゼミは、
可能性があろうとなかろうと自分達の手や足を動かして、
様々な方々からご意見を伺う事は本当に重要だと感じました。

理由は大きく分けて2つで、
1つは議論の行き詰まりを防ぎ、経験に基づいた問題意識を得る為。

「研究目的が定まらない」
「決まってもそれが実現出来るか分からない」

とかで行き詰まってしまい悩むよりも、
仮説的に「複数」の目的意識を持って、
それに対応する企業ないしは団体と実際に意見交換を行なったり,
具体的な提案当てて行く事で、
今何がその企業、業界で求められていて、
自分達の研究活動がそこにどう活かせるのか、又は活かせないのか、を知り、考える。
学校で頭を抱えているよりもよっぽどスピーディーに、
かつ確かな実感を持って思考できると思います。

そもそも誰かから与えられた研究テーマに対して研究目的だとか想いがあるなんていう状況は非常に稀で、
それは全くもって普通な事だと思います。
ただ改めて設定する場合、重要になってくるのが「経験」だと思うんです。
この経験値の取得というのが、
今回の共同研究提案でいうところの、
「こんな理由で断られた」とか
「じゃぁどんなハードルがあるんだろう?」
といった素直な疑問や、
「このサービスの将来性は感じてもらえた。自分もそう思えてきた。これは応用できないか?」
の様な気持ち、考え、問題意識に繋がったんじゃないか、
と個人的には感じています。

又共同研究提案という形の活動だった為に、
実現可能性、不可能性という所が非常に明確だったという所もメリットの1つでした。

これは2つ目の理由になるのですが、
実現可能性の是非の素早い明確化、は私たちの研究においてはかなりクリティカルな問題だと思います。

様は「これって出来るかな?」みたいな雰囲気の中でおこなう議論を2週間続けるよりも、
企業や団体に「出来ますか?」って聞いた方がはやい。
あくまで私たちの研究は、
「私たちがやりたくて」
かつ
「私たちができること(企業がついて一緒にトライアルが出来る状態)」
の2つが成り立ってこその研究なので、
どちらか一方に議論の時間等の資源を配分してしまうと、
中々うまく進まない気がするんですね。

そういう意味でも、
これら2つを明らかに出来る提案活動というのは、
中々効果的な手段なんじゃないかなぁと今回感じました。



私たちはこれから、
ARG手法を観光や地域活性というところに落として応用していく事になったのですが、
そこに関しても、
ここからパートナーさんと良い議論を交わしながら、
共に建設的に研究目的、意義を設定していきたいなと思います。


かなり大規模なプロジェクトになりそうです。
気合いが入りますね。



今年はソーシャルメディアビジネスと、大型観光ARGのトライアル研究の二本柱で、
忙しくなりそうです!



PS
ARG定義のエントリーは、
明日からの合宿中にでも編集したいと思います><
わすれてた!!

2009年8月17日月曜日

ARGの機能的要素と効果

ARGってどれよ。何よ。


大概どこでも議論されるのが、
このARGってそもそも何なのっていう議論であります。
そしてぶち当たるのがこの線引き問題。
これはARGなのか、それはARGでないのか?
みたいな、一見不毛な議論です。

一見不毛というのは、
別にそのプロモーション企画がARGかそうでないかなんていうのは、
そもそも本質的な所ではなく、
プロモーション企画自体で言えばそれが本当にプロモーションとして機能したのかどうか、
効果は上がったのか、という事が議論されるべきで、
本来はARGなのか違うのか、というのはどうでも良い話ではあるのです。

とは言え、
一応研究対象ですし、
対象を絞る上でも定義はわりかし必要なので、
一度はまとめておこうというわけです。
(後から加筆して行こうと思いますが)


これからARG的手法を用いてプロモーションなり、コンテンツ制作なり、
イベント企画なり、製品開発なりをする時の参考にして頂ければと思います。


続く

2009年8月6日木曜日

ARG書籍

メディアファクトリーさんから、
続々とARG書籍が発売されてきていますね!

まだ体験してないので、
はやく購入しなくちゃとウズウズしております。

ARG書籍ってなによ


ARG書籍って何かというと、
本を読みながら自分で謎を解いたり、推理したりして、
その回答を事前に用意されているウェブサイトやモバイルサイトに登録していくと、
本を読むだけじゃ得られない物語の重要なファクトがメール等で送られてくる、
「ありそうでなかった」形態の書籍です。

もちろん、推理したり、ヒントが送られてくるだけじゃなく、
書籍の中のストーリーとは又別のストーリーがメール配信されてきたり、
ネット上でキャラクター達とコミュニケーションがとれたり、
期間限定で様々なイベントと連動していたり、など、
今まで以上にエンターテイメント性に富んだプロダクトとして今後も注目です。


今現在発売中のARG書籍は、
メディアファクトリーさんから

「39クルーズ」
http://www.mediafactory.co.jp/39c/



又カードゲーム連動ARGが大ヒットした、
名探偵コナンシリーズから、

「名探偵コナン 『嗤う黒猫』殺人事件」
~あなた自身が謎解きに挑戦するプレイングミステリーブック~


こちらは
発売日 2009年08月18日の予定で、
税込価格 880円でございます。




出版業界に良い風が吹くといいなぁ。

2009年7月31日金曜日

映画トロンのプロモーションARG:Flynn Lives③まとめ&考察

映画 Tron LegacyのプロモーションARG、
"FlYNN LIVES"
について、
ちょっくら考えてみました。

定量的なとこがなんも分からんので、
完全にただの感想ですが、
以下参考までに。

FLYNN'S LIVESの結果


そもそも今回のプロモーションにARGを採用した理由は
以下の2つに当たると思います。
 
 ①ファン達へより満足度の高い経験価値を提供したかった
 (経験価値創出者としてのディズニーブランドの強化)
 ②ネットとリアルでトロン映画の情報を加速度的にひろめたかった


②に関しては、
毎回言われるが如く定量データがさっぱり出てこないので、
その是非は中々問えないのですが、
(映画プロモーションとかだと興行収入とかで判断されますが、
再現性が無いのでなんとも言えません)

①に関しては、
今回は明確に

「成功」

と言える様な気がします。


なぜ?


単純に、参加者の書いたブログエントリーの内容が感動と興奮に満ちあふれていたからです。
「そんな事かよ!!」
と思われるかも知れませんが、バイラルキャンペーンにおいては、
個人の書くブログエントリーの内容、
その評価、感想が全てと言っても過言じゃないと思います。

今までも数多くのARGが実施されてきましたが、
長期間でかつ内容もかなり複雑なものが多かったせいか、
ARG企画自体の粗探しでユーザーが盛り上がっていたり、
参加してみるものも楽しめず、途中で諦め不満足な結果に終わっていたり、
不満をこぼすブログエントリーが少なく無いものが数多くありました。

しかしトロンARG,FLYNN LIVESの場合、
まだARG終了から日が浅いという事もありますが、
非常に好評価のエントリーが多いという事が言えます。
(大体20個くらいのエントリーから判断してます)

http://www.firstshowing.net/2009/07/21/so-flynns-arcade-exists-new-viral-game-for-tron/
例えば上記サイトでは、
リードユーザー達がコメント欄でコミュニケーションをとりあっているわけですが、
このパズルを解いて行くスピード感、
そして次のイベントへの期待感が増幅して行く様が手に取る様に感じられます。

又、
実際にスカベンジャーハントに参加し、
FLYNN'S ARCADEで80年代のアーケードゲームを楽しみ、
さらに実寸大のライトサイクルのお披露目にも居合わせた人が興奮の余り書き込んだコメントからも、その喜びと興奮が感じられます。
(以下実際に書き込まれたコメント)


FLYNN LIVES!!! We were there at 1st and J… Where we were instructed to search for codes which were hidden around the Gas Lamp Quarter of San Diego with a supplied “Black Light” to reveal the coordinates of a special TRON event. The group of eight of us were able to quickly solve the puzzle and discovered, to our amazement, FLYNN’S ARCADE! When we entered the secret arcade, we found that it was an exact replica of the one featured in the special screening at Comic-Con from earlier that day! We all played the classic arcade games listening to cool tunes from the eighties until a certain song by Journey cued us to go the classic TRON arcade game… Next, the secret door behind the TRON game was revealed and we were led into the secret back room where we found an actual Tron Lightcycle from the new TRON movie… we were completely wowed and delighted!!! We left after given t-shirts and posters with hidden messaged to the countdown website… (clue: “slash derez”) …the actor who plays the son of Flynn (Garrett Hedlund) also showed up to say hi and we even saw Peter Petrelli (Milo Ventimiglia) from Hero’s come by to see what was going on. Totally a cool night…Disney went way over the top with this!

veganboy on Jul 24, 2009



時間のある時に日本語訳ものせようと思いますが、
コメントの中のビックリマークの量だったり、
又最後の一行、

"Totally a cool night…Disney went way over the top with this!"
(最高にいかした夜だった。完璧にやらかしてくれたよディズニーは!)


からも、
参加者に対して期待以上の経験価値が提供出来ている事が感じられます。


これこそ、
経験価値のパイオニアであるディズニーの仕事、
という感じが個人的にはします。
もちろん、
ディズニー映画とARGとの親和性を敏感に感じ取り、
ここまで満足度の高い企画を考えた42entertainmentもさすが、といった感じですが。


ストーリーの無いARG



このARG、
特徴の1つに、
「ストーリーの欠如」があげられます。
これ実は結構レアケースで、
大抵のARGにはストーリーがあり、
いわゆるロールプレイングゲームをやる感じで企画が進んで行くのが普通です。

人によっては、
「ARGにはストーリーが不可欠。何故ならARGとは新たなストーリーテリングの手法だから」
とまで言う人もいるのですが、
FLYNN LIVESをARGとしてだけ考えると、
(トロンという世界観、ストーリーを考えない)
これは明らかに「ストーリーの無いARG」であると言えます。

FLYNN LIVESは、ストーリーが無くても十分機能した特異な例だと思います。
なんでなんだろーとちょっと考えてみました。

短期間完結型ARGには、ストーリーはマストじゃない



①テンポ
②次のフラグを立たせるまでのモチベーション

の2つがゲーム進行の鍵となるのは感覚的に分かって頂けるでしょう。
ストーリーがあれば、
そのストーリーの続きが知りたいという動機で小難しいパズルを解いたりリアルミッションに参加してくれたり、
参加せずともまとめサイトの更新情報をチェックしてくれたりします。
もちろんパズル解読やリアルミッション参加へは違う動機が起因してたりするとも思うんですが、結局そこにストーリー、あるいは他の強い動機(懸賞金等)が無いと、
普通やられる長期間ARGは参加者を惹き付け続けられない。
結果過疎化が深刻化し、企画倒れした例も少なくありません。
(日本で実施された「あんたがた」等のイベントは、ここではARGと認識していません)

しかしFLYNN LIVESは、
約三日間という短期間で
ミッション1:GIFアニメデータ解読(難易度高)
ミッション2:カウントダウンの謎解明(難易度易)
ミッション3:Comic-conでのスカベンジャーハント
フィナーレ:FLYNN'S ARCADEオープン、ライトサイクルお披露目

と、テンポよく企画が進み、
ストーリーがなくてもプレイヤー達の参加意欲を下げる事なく進める事に成功しています。
又結果的には、
プレイヤー達が謎に立ち向かって行く様子、コメントでのやり取り等が、
何かストーリーめいた面白いイベントになっていた様にも感じます。

又ミッション、要はプレイヤー達のTODOが明快だった為に、
プレイヤーに対してもwatchしてる側に対しても、
進行過程で混乱を招かなかった事が大きな勝因になっているとも考えられます。
つまり、複雑なストーリーを無理矢理組み込む事で生じる
①行き過ぎた推測
②思考の分散化(ストーリー追求orミッション達成かでプレイヤー行動が散ってしまう)
を未然に防止し、進行スピードを保証していたのではないでしょうか。

要するに、
下手な混乱を招くぐらいなら無理にストーリーを作らなくても良い。
ストーリーが無いと駄目だ、という元々帰納法的に出ていた結論が、
また今回の事例を通して覆った様な気がしています。


日本での応用可能性


これなら日本人でもやってくれるイメージがやや湧きます。
というのも、
①短期間完結型で、面倒くさくない
②ブログは信頼されていて、特に有名ブロガーともなればその信頼度は極大
③TODOが明快。何したらいいか分かるから、やっても良いかなって気になる。
④知ってるコンテンツだとなおさら良い。

とにかく古典的ARGは、
得体が知れなくて「恐い」

TINAG(this is not a game)とか言ってるけど、
リアリティーとフィクションがあまりにも曖昧になりすぎてると、
一部のネットギーク以外は恐くて近寄れない。
twitterですら恐いとか思っちゃう国民だから、
いわんやARGをやってなもんで、ハードルの高き事山のごとし。

この「恐い」を解消してあげられる要素は、
今の段階では
①有名タイトルとのコラボ
(アニメだと、こちかめ、ドラえもん、エヴァ、等)
②ゲームである事の明示
どうぞ安心してゲームに参加してね!というメッセージ

がコア

で、

「なんかよく分からない」を解消する為の施策もちゃんと盛り込んであげる事が必要だろうなぁと、思います。


最後に参加動機ですが、
ARG自体がかなり非日常的経験サービスなので、
何かしらイベント等とコラボして、
ターゲット層が「イベントモード」になっているタイミングを狙って行くと成功率が高まると思います。

映画トロンのプロモーションARG:Flynn Lives②

詳細説明② キーウェブサイトとコミコンへの誘導



キーウェブサイトと勝手に名付けるが、
(キーウェブサイト=ARGのメインステージに辿りつく一歩前のウェブサイト)

Flynn Lives(以下FLs)においては、
こちらのサイトがキーウェブサイトとなっていたよう。
http://www.flynnlives.com/


現在は残念ながらもう削除されているのですが、
このサイトの下部にいたらしいぴょんぴょん跳ねる蜘蛛のアイコンをクリックすると、
以下の様なカウントダウンが表示されたようで、

<カウントダウン画像>


逆算すると、
7月23日 午後9時半、と。
何かがこの日に起きるから、
君達覚悟していてね、的なメッセージですね。


さらにこのサイトの
「terms of use」のページに、
最初に届けられた郵便物の発送元と同じアドレスが記載されており、
そこがサンディエゴだと知ると(まぁ大方は予想されていたが)
ファン達は、コミコンまっただ中のサンディエゴに集まっていったのでした。

第2ミッションクリアである。


詳細説明③ リアルミッション



大体ここまでで、(というか当初から)
コミコンでトロンチームが何かを企てているという事は
ファン達の中では周知の事実だったらしい

とはいえ、限定Tシャツを配るとか、
いわゆる普通のノベルティーグッズを配るくらいのことを考えていたらしいですが・・・

実はそのコミコン真っ只中のサンディエゴを舞台に、
ファン達をあっと驚かせるイベント&ミッションが待ち構えていたのです。
これぞARG、伝家の宝刀の一つ、
リアルミッションin the cityが、
ファン達を更なる深みへ没入させ、
後々のバイラルを生んでいきました。


FLsにおけるリアルミッションは
参加者がスタッフに配られたブラックライトを持ってサンディエゴ市中を歩き回り、
そこら中に隠された暗号を探し出して、
Flynn's arcadeの場所を特定するというもの。

市中に隠された3つのポスターを見つけ、
それにブラックライトをあてると数字が浮かび上がる仕掛けになっていたらしく、
この数字等の暗号を解くと、
マップ上でFlynn's arcadeの場所を割り出す事が出来る、という流れ。

以下がその様子。


※こういうタイプのミッションは、どうやら
「Scavenger Hunt(スカベンジャーハント)」と呼ぶらしいです。

参加者同士協力しあいながら場所を特定し、
その様子はお馴染みtwitterでつぶやきあわれ、
そこからもバイラルが広がっていった様子。


そして夜九時半。

カウントダウンが示していた時間がやってきました。
その一連のARGイベントのクライマックスの瞬間は、
是非動画でご覧にいれたい。





詳細説明④ FLYNN'S ARCADE,HOME OF TRON



イベントのクライマックスで登場したのは、
ディズニーランドのアトラクションさながらのイベント施設。
Flynnが経営していたというゲームセンター、
FLYNN'S ARCADEだ。

ファンだったらこりゃ興奮するでしょうね。
なんせゲームの世界が、
ディズニーランドでもユニバーサルスタジオでもない、
サンディエゴの街中に現れたんですから!

そしてそのFLYNN'S ARCADEの中はどうやらこんな感じらしいです。
ここではトロンの中に実際に出て来るようなアーケードマシーン(TRONそのもの)や、
1980年代の懐かしいゲームが無料で遊べるようになっています。



しかし

プレイヤー達、又ファン達に用意されていたのはこれだけでは無かったんですね。
中の奥の方にある秘密の部屋には、
なんと本物の「ライトサイクル」まで用意されており、
お披露目の瞬間には会場にいた多くの人々が歓喜に湧きました。
(今でも行列ができてるらしい)



http://www.cinemablend.com/new/Comic-Con-Flynn-Lives-And-He-s-Reopened-His-Arcade-14068.html






うーーん
実に見事。
満足度にばらつきがあることが一般的なARGには言えそうだけど、
このARGの満足度は是非定量的に調査したいところ。
まとめてるだけでもこれだけ面白いんだから、
きっと参加者達の興奮といったら無かっただろうな。

次回エントリーは今回のARGを
紹介ではなく考察してみようと思う。

<考察へ続く>

2009年7月30日木曜日

映画トロンのプロモーションARG:Flynn Lives①

前回は42entertainmentが初めて世に送り出したARG、
the Beastを先日ご紹介しましたが、
http://ularatter.blogspot.com/2009/07/arg-beast-1.html

今回は
最近カンヌ国際でも話題をさらっていき、
ノリに乗っている42entertainmentが先日行なったばかりの
最新ARG
"Flynn Lives"
をご紹介します。
(きっと日本語で紹介されてるのはここが一番乗りのはず!)



その前に、
トロンを知らない方も多いと思うので、
以下のトレーラーをご覧くださいませ。

ディズニー3Dアニメ映画
トロンの凄さを垣間見れるかと思います。
(フルスクリーンをおすすめします)








概要


ディズニー映画『トロン レガシー(Tron Legacy)』
のバイラルキャンペーン。
Comic-con(略してコミコン)に合わせて仕掛けられた、
イベント連動型ARG。

※コミコンとは
 [シネマトゥデイ映画ニュース] 
今年で40周年を迎えたサンディエゴのコミック・コン(コミコン)が22日よりスタートした。今年も4日間のパスは数か月前にすべてソールドアウトとなり、約12万人のオタクたちが集まる世界最大のコミコンは初日から大盛況。
http://www.cinematoday.jp/page/N0018973


そのコミコンの開催前日の7.21に、
正体不明の郵便物が数名のブロガーに届けられた所から、
Flynn Lives(以下FLs)は幕を開ける。

謎の郵便物の中には、
コインとGIFアニメデータが保存されたフラッシュメモリが入っており、
ブロガー達はそれらデータをネット上で共有、暗号を解読。
コミコン当日にはトーチ型のブラックライトが参加者全員に配られ、
会場内を歩き回りヒントを集めてマップを作成するリアルミッションに参加。

最終的には、
トロンに登場するFlynnが経営していたと言われる、
1980年代風のアーケードゲームセンターがサンディエゴにオープンした。



詳細説明① 謎の郵便物と暗号




2009 7.21、
/Film』等、5人の映画情報に明るい有名ブロガーに、
Flynn's ARCADEと刻印されたコインと、
GIFアニメデータが保存されたフラッシュメモリが同封された郵便物が届いた。

SF映画ファンであれば、このFlynnという人物が映画トロンに出て来る登場人物だという事がすぐに分かる。

彼らが受け取ったGIFアニメデータ(5つあるうちの2つ)






これらのGIFデータには暗号が隠されており、(見るからにそうだが)
それぞれのブロガーから情報を入手したファン達は、
こぞってそれらのデータをネット上で共有し、暗号解読を行なった。

例えば、
/Filmの読者であるBenjamin O:という人物が以下の様な暗号解読を行なった事が
/Filmでも取り上げられている。


Hi!
I just spent a while compiling the 4 animated gifs into code, and found out that they use a simple substitution cipher for the symbols, the symbols that are available translate to:
(やぁ!4つのgifデータをコーディング出来る形にコンパイルする為に、
ちょいと時間を使ってみたんだけど、どうやらこいつらは簡単な換字暗号を使ってるみたいなんだ。それぞれの記号はこんな形で訳せるぜ!)

œ = h
æ = t
© = m
å = l
Ø = e
¶ = a
§ = d
Ω = s
÷ = y
Δ = p
Σ = c
x = x
¢ = b
≥ = o
≈ = n
√ = r
Π = i
≤ = v

and there’s one other that I can’t read. When you translate all the symbols, the html code that results shows a table and a list of coordinates. I attached the html file I made. Unfortunately, there must be one more gif floating around somewhere because it’s incomplete. You can still figure out most of it, though. I attached the html file I made.
(あと一個だけ読めないやつがあるんだよね…。
全部の記号を翻訳すると、コーディネイトと、テーブルがあらわれるんだ。(以下参照)
僕がつくったhtmlファイルを添付しておくね。
だけど、確実にまだどこかにもう1つのGIFデータがあるはずなんだ。
なぜならこれはまだ不完全だから。それでも大体は解読できるけどね)

Following the coordinates going first down, then right gives: “Flynn Lives.”
y e a i h
o C s F t
i n v o l
l a r d m
b s h n b

2,4 3,5 1,1 5,4 3,2 4,1 1,4 3,3 1,2 5,2



暗号を解読すると、
暗号が"Flynn Lives"であるという事が分かり、
プレイヤー達はそこからさらに、
Flynnlives.comというサイトに行き着く。

第1ミッションクリアである。


<続く>

2009年7月29日水曜日

twitterアグリゲーターが続々登場

メディアパブさんの2009年7月24日の記事に、
Twitterアグリゲーターの1つ、
ジャーナリストのアグリゲーターである"Muck Rack"が取り上げられました。

『ジャーナリストのTwitterアグリゲーター“Muck Rack”が急拡大』
http://zen.seesaa.net/article/124132963.html


アグリゲーターって何?


アグリゲーターって何よ!
って思ってる方に簡単にご説明します。

アグリゲーター=aggregator
なのですが、
元々の動詞である「aggregate」 をWeblioでひっぱると
以下の様に出てきます。

aggregate
―【動】 【他】 〈…を〉集合する,集める,集団とする.
― 【自】
1 集まる.
2 〔+補〕総計〈…と〉なる.


様は、まとめる、集める、という意味なんですね。


つまり
aggregatorというのは、
「何か元々ばらばらだったものを1つに集めるもの」
又は
「集めてきたもの」
という解釈が出来ます。
「まとめ君」とでも呼びましょうか。


一口にアグリゲーターと言っても、
情報過多の昨今のネット時代においては、
本当にいろんなタイプのアグリゲーターが存在します。

例えば

RSSリーダー

これは、
自分のお気に入りのブログやニュース記事等のフィードを登録する事で、
1つのアプリケーション内に自分の読みたい情報をまとめる事が出来る大変便利なサービスです。
google リーダーや、livedoor リーダーがこれに当たりますね。
これを実は、別名RSSアグリゲーターと言います。
分散しているブログ記事等の情報を集めてくる、
という意味で、確かにアグリゲートしてますね。


他には、

コンテンツアグリゲーター

と呼ばれるものがあります。
これは何かというと、
インターネット上の様々な情報を集めて、
それらを整理してユーザーに提供する事業者、又そのサービスの事を言います。

例えば
価格.com
これは、
それはそれはありとあらゆるお店のあらゆる商品の価格情報を集めて整理し提供する事で、
ユーザーが簡単に買いたいものの価格比較が出来るようになっています。
こういうサービスが無かった時代は、
わざわざお店のHPを1つ1つ別タブ、別ウィンドウで表示し、
非常にアナログな方法でしか比較検討する事が出来ませんでした。
便利な時代になったものです。


twitter アグリゲーター


ってなわけで、
本題のtwitterアグリゲーターです。

twitterは、
現在

アメリカでのユーザー数:約1800万人
イギリスでのユーザー数:約250万人
日本でのユーザー数:50万人

が利用している、
マイクロブロギングと呼ばれるちっちゃい記事(つぶやき)を、
ひたすら投稿するソーシャルプラットフォームです。
幽霊会員が多いとか多く無いとかの情報もありますが、
全世界的に見て、
twitterに投稿されている情報は相当量に達しています。
一日に大体5〜10は投稿すると仮定しても、
その数は中々凄い。



そんな、
膨大なtwitterの投稿をまとめて提供してくれてるサービスが、
このtwitter アグリーゲーターと呼ばれるものです。


ジャーナリストも、デザイナーも、はたまた科学者も。



先日メディアパブさんの方で取り上げられていたのは、
各メディア媒体で活躍するジャーナリスト達の投稿を束ねた
"Muck Rack"
http://muckrack.com/
というサービス。



かなり有力なメディアやブログが対象となっているので、
登録されている記者も、
フォロワーが2000人弱いて当たり前な人達ばかり。
中には余裕で万越えの記者もゴロゴロいます。

そんな中から、
お気に入りのジャーナリストのTwitterのタイムラインを閲覧する事も出来ますし、
各記者が担当しているカテゴリー別に整理されているので
そこから情報を吸い上げる事も可能です。

こちらはもっと使ってから、
そのうち再レポートしようかと思います。



実は、アグリゲートされているのはジャーナリスト達だけじゃありません。
ありとあらゆるジャンルのtwitterアグリゲーターが出てきているんです。

twitterアグリゲーターあれこれ


・デザイナーのtwitterアグリゲーター
"inkpill"
http://inkpill.com/


・ビューティー関連twitterアグリゲーター
"facecaker"
http://facecaker.com/


・スポーツ選手twitterアグリゲーター
"championist"
http://championist.com/


・サイエンス系twitterアグリゲーター
"science pond"
http://sciencepond.com/

宇宙やら生物やら、ジャンル毎に科学者さん達の投稿がウォッチ出来ます。

・ベンチャーキャピタリストのtwitterアグリゲーター
"venture maven"
http://venturemaven.com/



その他にも、
プログラマー、セレブ、ミュージシャン、等等、
考えうる大体の王道ジャンルのtwitterアグリゲーターが既に世界では生まれてきてるんですね。

全部はフォローできませんが、
今後情報種集に大いに活用出来るのではないのでしょうか。




日本でも、
はやいうちにこういうアグリゲーターを作って欲しいものです。

2009年7月28日火曜日

ARGのはじまり "the Beast" (2)

the Beastの新しいゲーム体験


the Beastでは、
仕掛け人の一人であるマイクロソフト社のデザイナー、エラン・リー氏が語る様に、
「現実」と「虚構」の境目を、なるべく曖昧にする為に、
当時としては全く新しい手法、ギミックを駆使し、それまでには無い新しいゲーム体験を生み出しました。

ストーリーを1つのメディアで完結させずに、
ありとあらゆる生活メディアに分散的に情報をばらまく新手のクロスメディア手法や、
実際に登場人物になりきった生身の人間と電話での会話、
電子メールでのやりとり、
難解なパズルへのチャレンジ、
そして、
ネット上での何千、何万という数の人とのコラボレーション。


具体的な例として、
例えばこんなパズルが用意されていました。




















元素記号の数式を解く事で、
プレイヤーはストーリーのヒントとなる新たなホームページのアドレスを入手する事ができます。
このパズルはまだ想像可能な範囲の様な気もしますが、
中には制作者側が、解答に9ヶ月はかかるだろうと想定していたものもあったそうです。
(しかしながら、それも20分で解かれてしまったらしく、
制作者側は1日18時間労働でパズルを考えてたそうですが…)





リアルイベントも行なわれました。

『マサチューセッツ工科大学でのビデオ上映イベント』
→スティーブン・スピルバーグ監督のインタビューが上映され、
その中で、ジャニン・サラの名刺を出す等の演出がありました。

『反ロボット市民軍決起集会』
→ストーリーの中でA.Iロボットの軍事利用が1つのキーワードになっており、
その決起集会が、ニューヨーク・ロサンゼルス・シカゴにあるレストラン(クラブ)の計3か所で同時開催されました。
そこで配られたリーフレットには、
折り重ねると秘密のメッセージが現れる仕掛けが施されており、それと開催された場所の通りの数字を組み合わせることでURLがわかる仕組みとなっていたそうです。
こってますね。


このように、リアルイベントがストーリー進行においても大変重要な意味を持っているのが、the Beastの特徴とも言えます。
(もはや一人では絶対に完結出来ないゲームだという事も、
お分かり頂けると思います。)

参加者が協力しあい、作り上げて行く双方向型エンターテイメント


これら様々なイベント、パズル、ストーリー情報は、
基本的には様々なメディアやシーンを通じて分散的にプレイヤーに届けられていました。
当然、途中参加者はキャッチアップが必要となりますが、
情報がまとまっていない事にはどうにもなりません。
通常の漫画や映画等のコンテンツとは違い、the Beastではリアルな時間が流れているからです。

しかし、
ゲーム最中に、
実際にプレイヤー達の手によって議論や情報交換としての場である「フォーラム」や、
日本でいうところのまとめサイト的なものが作成されました。

それがこのcloudmakersというサイトです。
(cloudmakersとは、the Beastのコアプレイヤー達のグループでした)

Cloudmakersオフィシャルサイト
http://www.cloudmakers.org/


このサイトには、
the Beastの概要、プレイの仕方、ストーリーがまとめられおり、
このARG内で使用された他のウェブページへはここから飛べる様になっています。

The BeastはARG進行中も制作途中だったこともあり、
常にARGの進行の最先端にいたCloudmakersの存在は、
The Beastのストーリーやゲームの進行に大きな影響を及ぼしました。


少し余談ですが、その後行なわれるARGには、
この「フォーラム」と「まとめサイト」がセットで設置されているケースが大半を占めています。


又、ワイアードニュースに届いたメールに、
この様なものがあったそうです。

「実際、昨日はこれまでで一番見事な『ゲームデー』だった。ライア(ゲームの登場人物の1人)から緊急の電子メールで、『赤の王』(Red King)という人物が誘拐され、事件の解決に手を貸すことができるのはわれわれだけだ、と知らせてきた。電子メールには、電話番号がはっきりとわかる食堂の『伝票』をスキャンしたものが添付されていた」

 「そこに電話をかけてみて、みんな本当にびっくりした。完全にゲームの登場人物になりきった生身の人間が電話に出たのだ。電話の主は、表向きは自由の女神像の警備員をしているというマイク・ロイヤルだ。その日はずっと、気が進まない様子のマイクをその気にさせ、何とか彼を引き込んで、赤の王を助けてもらおうとみんなが試みる。マイクが大学でフットボールをしていたことがわかると、ゲームプレイヤーたちはそれを糸口に、マイクの機嫌をとろうとした」


当時のワイアードの記事にもありましたが、
まさに今まで見た事も聞いた事もない社会工学です。
ユーザー参加型の最たる例ではないでしょうか。



the BeastからARGが始まった


Alternate Reality Gaming という言葉は、
the Beastが誕生した後に後付けした形で世に出ました。

史上初の大型ARG、The Beastは、スピルバーグ映画A.I.のプロモーションと、映画の世界観の拡張を目的として作られ、
後に制作されるARGの基本となりました。
WEB上に架空サイトを多数作ることで未来の世界を構築し、
多数のパズル・ミッションを配置した今でいうところの古典的なARGです。
ラビットホール、クロスメディア型分散配信、プレイヤーの行動喚起、プレイヤー間の協力、パペットマスターの存在など、今では当然とされているARGの特徴の多くはこのARGから始まりました。


しかし、
ARGの本質的特徴=the Beastの特徴
という風に簡単に結論付け出来ないのが昨今の状況です。

前述した通り、
これまでに200個弱のARGが実施されており、
ARGも既に多様化の時代を迎えています。
(こちらに関してはまた今度エントリーしたいと思います。)

しかしいずれにしても、the Beast という1つ作品が、
ARGという大きなジャンルを生み出した事には変わりありません。
その意味で、この作品を理解する事はARG 理解の第一歩と言えます。

最後に


the Beastの紹介、
いかがでしたでしょうか?

様々かいつまんでしまったので、
理解し難い部分等あるかと思いますが、
ご遠慮なくコメント、メール等で質問して抱ければと思います。



以下、当時のワイアードニュースの記事です。
是非こちらも参考になさって下さい。

映画『A.I.』の裏に潜むもう1つのストーリー(上)
2001年6月29日
http://wiredvision.jp/archives/200106/2001062907.html

スピルバーグ監督映画『A.I.』をめぐる謎のウェブサイト群
2001年5月 7日
http://wiredvision.jp/archives/200105/2001050706.html

各種参考データ


•The Beast (game)- Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Beast_ (game)
•The Beast ARG Presentation 10.2.08
http://www.scribd.com/doc/6470266/The-Beast-ARG-Presentation-10208
•Cloudmakersオフィシャルサイト
http://www.cloudmakers.org/


受賞歴


•Best Idea, New York Times Magazine
•Best Website, Entertainment Weekly
•Best Advertising Campaign, Time Magazine

数値データ(一部)


•全世界で300万人以上の参加者(42 Entertainment)
•最初の3時間で10万人の参加者(Lee in Meadows, 2003)
•Cloudmakersができてから48時間以内に150人が登録(Gosney, 2005,)
•ゲーム終了時には Cloudmakersに7400人のメンバー(Gosney, 2005)
•Cloudmakers内のメッセージ数は43000(Stewart, 2001)
•Time Magazine, CNN, USA Todayなど主要メディア上で3億回を超える広告表示回数を誇る。これはSlashdot, Wired, Ain’t it Cool Newsなどの比較的小規模なメディアでも同等(42 Entertainment)
•開発コスト一億円以上(DreamWorks)

ARGのはじまり "the Beast" (1)

元祖ARG、"the Beast"


ARG(Alternate Reality Gaming 「代替現実ゲーム」)
のはじまりはいつかと言いますと、
実はこれは2001年にまで遡ります。

日本では本当にここ2年間くらいでやっと知名度が上がってきた(かな?)
くらいなのですが、
実は欧米ではすでに、
私が知っているだけで200弱のタイトルが行なわれてきました。


最初に行なわれたのはこちら、
"the Beast"
というタイトルのARGで、
2001年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の映画、
「A.I」のプロモーションとして行なわれました。














※本当は映画のプロモーションではなく、
Xbox用のゲームが発売予定だったので、
そちらの広告プロモーションとして企画されたのですが、
結局はA.Iの不振からゲーム発売が企画倒れしたという経緯があります。


では、A.IのARG, the Beastは、
どのようなものだったのでしょうか?
以下から少しご紹介したいと思います。


the Beastの世界への入り口


映画のポスターのクレジット(公開前から)
映画の中のエンドロール(映画公開後)
等に、
「ジャニン・サラ(jeaninne salla)」という名前が記載されていました。
(以下画像参照。こちらはポスターの画像)

ただの名前なら誰も気にも止めないのでしょうが、
肩書きが「心を持つロボットのセラピスト」と、何やら怪しい。




実はこれが、
ARG、the Beastへの入り口、
※「ラビットホール」でした。









プレイヤーがその名前を、おそるおそるgoogle(まぁエンジンはなんでも良いんですが)
で検索すると……


※ARG用語に「ラビットホール」というものがあります。
アリスがウサギを追いかけて不思議の世界へ入り込んでしまう穴を、
ARGストーリーへ入り込む入り口と見立てて
「ラビットホール」(ウサギの穴)と呼んでいるんですね。
広告業界でいうところの、
タッチポイント、コンタクトポイント、
と似た様なものだと思って下さい。


the Beastの世界


検索するとどうなるかというと、サラが働いている大学のホームページに飛びます。
名前はバンガロア大学。
彼女が大学教授である事が分かり、
さらに彼女のページを見て行くと、
彼女の書いた論文の一覧ページがあります。






























画像が少々粗くて申し訳ありませんが、
お気づき頂けましたでしょうか?

そう、年号がおかしいんです。
(画像上で、赤い丸でかこってあるところです)

今から100年以上も未来に書かれた論文がある。
大体、そもそもロボットセラピスト、なんていう肩書きが現実離れしています。
何かがおかしい。

そうして、ジャニン・サラという謎の女性のページから、
関係するいくつかのサイトに飛んで行くと、
エヴァン・チャン(Evan Chan)という人物の謎の殺人事件に行き着きます。

その流れをより詳しく説明すると、以下の様になります。

Sallaの個人ページを読むと、プレイヤーはSallaの孫のLaiaの個人ページへのリンクや、Jeanineの電話番号を発見できます。
こうした手がかりに誘導されて、
プレイヤーはEvanとNancyのホームページを見つけることになります。
彼らはSallaとは家族そろってのつきあいで、
Jeanineの留守電のメッセージから、
どうやら最近Evanが彼がA.I.を育てていた、
「Cloudmaker」と呼ばれるボートに乗っている際に、
不慮の事故で亡くなってしまったということが分かります。


この時点で、プレイヤーはEvanの死の調査に参加することになります。
プレイヤーは、だれがA.I.生育所を壊したのか、などのさらなるなぞに直面することになり、
この一連の殺人事件の謎がthe Beastの世界、ストーリーでした。



2001年、
まだこのゲームに、これまでのMMORPGやコンソールゲームには無い、
新しいゲーム体験が潜んでいる事など、まだ誰も知る由も無い時代の事です。




(2)へ続く

ARGとは(1)

ARGって、みなさんご存知でしょうか?
Alternate Reality Gamingの略で、
日本語に訳すと「代替現実ゲーム」という風に呼ばれています。

カンヌ国際広告祭のサイバー部門で、
42entertainment×ワーナー・ブラザース・ワールドワイド・マーケティングの
"Why so serious? "
http://work.canneslions.com/cyber/?award=1










がグランプリを受賞した事をきっかけに、
日本でもARGを使ったバイラルキャンペーンが少しずつ注目を集めてきています。

※こちらのARGを考察した、ニテンイチリュウさんの記事が大変分かりやすく、
綺麗にまとまっているので、是非参考にして下さい。
http://www.cbc-net.com/dots/tomo_nozawa/nozawa_02/


武山政直研究会とARG


私が大学で所属している武山政直研究会(以下KEG)では、
このARGについて二年前から日本で始めて研究し始め、
今年からはARGの本質的特徴とその可能性に注目し、
今後どのように活かして行くのが良いのかを考えています。
この辺の詳しい事は、又機会があるときに触れたいと思います。

日本でのARG理解の現状


そんな中で、
まだまだARGに関する参考資料が日本では非常に少なく、
ネット関係、あるいは広告関係者以外には
(むしろその業界の人ですら)
良くその実態が知られていないのが現状です。

また、よくある
「これはARGではない、これがARGだ」という
そもそもARGとは何かの定義をしないでの原理主義的な議論や、
広告という枠組みに囚われたが故の狭い視野での議論、
それに付随する効果測定の限界議論から、
ARGの正しい理解とは言えずとも(何が正しいかなんて誰も知らないので)
その可能性が見えづらくなっているのが、
悲しいですが現状です。

もっとARGの面白さ、新規性、そしてその可能性について、
オープンに議論がなされれば良いと思うのですが、
今は本当に一部のややギークな人達の遊び、
という風にやや思われがちなんですね。
ちょっと(というか結構)残念。


今後のARG関連エントリーに関して


私は今後、
少しでもARGの様々な可能性を感じて貰い、
かつ理解を深めてもらえる様なエントリーをしていく事で、
少しでも多くの方々がARG的手法を用いたビジネス、コンテンツ制作、
はたまた社会貢献等の可能性について考えて頂ける様になれば良いなと心から思っている次第です。

もちろん、
私たちが研究室で考えた定義や可能性が絶対の真実だとは思っていませんし、
あくまで1側面からの考察にすぎません。
ので、今後も多くの方々と意見交換をしていきながら、
ブラッシュアップしていけたら良いなと思っています。



次回はまず、
「ARGのはじまり」
について、The Beastの事例を通じて説明したいと思います。


ではでは。

2009年7月24日金曜日

初投稿。

皆さんはじめまして、こんにちわ、今晩和。
ularatterこと、ularaこと、西谷麗です。

ただいま
慶應義塾大学経済学部四年生、
武山政直研究会(通称KEG)
http://keglab.jp/
に在籍しており、

その中のARG(代替現実ゲーム)という少々聞き慣れないジャンルを
扱うグループのリーダーをしています。

実はもっぱらアウトプットもインプットも
twitterとtumblrというマイクロブログサービスを用いて行なってきたのですが、
やはりちゃんとしたエントリーという形でアウトプットしたいと思ったのと、
是非私達が研究しているARG、
そして自分の持っている社会への問題意識や興味関心について
たくさんの人に認知、理解して頂きたいと強く願い、
blogを書く決心を致しました。

という事で、
このブログは主に二つの柱によって形成されていく予定です。

1つは
研究対象であるARG。
それに関連するコンテンツビジネスや広告、イベント関連の話題、
コミュニケーションデザイン等に関する事等。

2つ目には、
広義のキーワードとして「ソーシャル」を扱って行こうと思っています。
これは、かなり広く捉えています。
ソーシャルイシュー、ソーシャルネットワーク、ソーシャルゲーム、
ソーシャルアントレプレナー等等、
広すぎだろ!!!
って突っ込みが聞こえてきそうですが、
私はこのキーワードにどうもヒットしやすいので、
大きな二つ目の柱として、
これを掲げたいと思います。
(ここには、教育等の社会的課題も含まれます。)

この大きな二つの柱以外にも
日々の考察や、歴史に関する持論、
デザインについて、
悩み(悩み多き女子大生なので)
等々、
普通のエントリーもしていくと思います。

いずれにしても、
是非読んで下さる人達にとっても、
又自分自身にとっても有益なブログにしていけたら良いなと思っていますので、
よろしくお願い致します。


尚、twitterでは日々の瞬間アウトプットをしています。
結構普通の女子大生だという事が分かって頂けると思います。
つながりが大好きなので、是非followして下さい。
twitter: ularatter
http://twitter.com/ularatter

tumblrでは、RSSリーダー等等で収集した気になる記事を集約させています。
http://ulara.tumblr.com/




さて、明日は一限がテストです。
わぁあああああああああ