2010年7月25日日曜日

超簡単なストックオプションと制限付き株式の話(1).5

前回はテラ簡単なストックオプションについてまとめましたが、
今日はさらに簡単にちょっと課税について触れておきます。

税金といえば、社会人になると、もうまじで嫌になっちゃうくらい税金を持っていかれます。
しかも日本はとてもおかしな制度で、お金持ちはお金をあんまり貰っていない人よりも、
「多い税率」を課せられます。
あえてここで「より多くの税金を持っていかれます」と言わないのは、仮に税率が同じだとしてもどうせより多くの税金を払う事になるからです。
だって年収1000万の人と200万の人で、仮に20%の税率で所得税を払ったら、
お金持ちは200万円、
そうでも無い人は40万円、
の税金を一年間で払う事になるので、5倍もの差が出ます。
それなのにお金持ちはもっともっと高い税率を課せられるから意味不明。
ってなわけで私は累進課税撲滅派なのですが、それはおいといて。

前回ストックオプションについてまとめましたが、
こいつ実は税制的に結構面倒な子なので、

「前回の例で、やったー!100万円儲かるー!!」

と思ったら結構残念な事になるのでちょっと追記しておきます。
(とはいえ私も素人なので、もしも詳しい方がいらっしゃいましたら教えて下さい)

前回は、

本当は10万円もするもの株(現在)を、5万円で20個まで買える権利を用いて、
100万円の利益を得る、


という例を使いました。
ではこの例で、実際どれくらい課税されるかを見てみます。

その前に、
ストックオプションには
1)一定の要件を満たす税制適格のもの
2)そうではないもの


の2つがあり、課税されるタイミング等が違います。


2)そうではないものを説明します。
税制適格のものは、最後の売却利益にだけ課税されるっていう簡単な子だからです。
ではさっそく。

「本当は10万円もするもの株(現在)を、5万円で20個まで買える権利を用いて、
100万円の利益を得る」


をちょっと言い換えます。(プラス、条件を一個加えます)

1年前に、1株5万円で20個まで買える権利を貰いました。
(権利行使価格:1株5万円 付与株数20株)
その後株価が上昇し、1株8万円になりました。

Aさんは、ここで

「これはあがるぞ!そろそろ権利を行使して株を買っておこう!
そうすれば、また株価が上がった時に売却して利益が得られるぞ!」


と想い、権利行使をして株式を購入します。
この時Aさんが実際に払わなくてはいけない代金は、
5万円×20株=100万円
になります。だって5万円で20個買っていい権利貰ったんですから。もうけもんです。

Aさんは、今株を売っても利益が出ますが、
もうちょい待ってさらなる利益を得ようとします。
そして一年後、1株10万円になった時に20株全て売却しました。
よってAさんは、
10万円×20株=200万円
の売却代金を手にしました。

うららは手数料とか来ると計算がめんどいので、はぶきます。

ここで!!!!!!!!!

なんとなんと。
税金のお話が出てきます。ひどい、、、せっかく100万円でハワイに!と思ってたのに!

普通に考えたら、この100万円に直接税金がかかると思うのが感覚的に分かりやすいと思います。
しかし、どういうわけか税制的確になっていないストックオプションは、
「株を行使、つまり、株を購入した時点」でも税金がかかります。

なぜストックオプション行使時に税金が!?
なぜかというと、実はよーーーーーーく考えてみると、

Aさんが
「お、株が8万円にあがってきたぞ!これはそろそろ行使すべきだ!」
と思って100万円で20株行使した時点で、本来の株価が8万円になっています。
つまり、その時点で売却していれば(あくまでif)ストックオプションを行使した時点ですでに60万円(3万円(8-5)×20株)の利益を得ている事とみなされ、
そこに所得税とさらには住民税がかかります。ひいいい。

だってまだ「お金払っただけやのに!!!!」「えーーー!!!」みたいな。

なんか普通の勤務先だったら給与所得になって、違う会社だったらなんか違う所得になるらしいです。
事業所得とかなんとか。私はそんなに詳しく無いです。

とりあえず、この60万円が給与所得になるので、実際の給与所得と足し合わせて、
超過累進課税のもと課税されるそうです。あああおそろしや。。涙もの。
だったまだ

「株買っただけなんだもん!!!!お金出て行ってるんだってば!!!」

さてさて。
怒りで拳を握りしめているところに、朗報が。
株価がなんと8万円からさらに10万円に値上がりしたとな!!
Aさんは意気揚々とその20株を全て売却したわけですね。
さて当然この時も税金がかかりますが、ややややこしいです。

この時はまぁすでに購入した時にも税金がとられているので、
税制的にAさんは、
株価購入時(行使時)の時価(8万円)×株数(20株)=160万円
でこの株を購入した事になり、それを200万円で売却した事になるので、
差額の40万円が所得になります。

なんかどうやら、ここで発生した所得は、「株式等の譲渡所得等」っていう部類に入るらしく、
上場株式だったら10%、非上場株式なら20%で税金がかかるそうです。
なんか実はもっとややこしい話もあるらしいですが、誰か専門家にまかせます。

要は、SOの課税で注意すべきなのは

1)当然売却益は課税対象。
2)さらに税制適格じゃないと、行使時にも税金がかかる
=思ってたよりもお金にならない場合がある。

3)さらに、仮に行使した後株価が永遠に上がらなければ、損失になる。


ということです。
株って恐いですね。
ギャンブルは避けたいものです。

ぶっちゃけ感想



とにかく、なんかもうストックオプションてちょーーーめんどい!!
しかもなんか、よっぽどの事が無い限りそんなにおいしくなくない?
っていうのが私の感想です。笑

いや、そりゃ超弱小ドベンチャーにもの凄い初期メンバーか、あるいは途中でヘッドハンティングされて要職についてて、
大量のSOを貰って上場させました!
とかだったら凄いおいしいかもしれない。
あるいは、今でも急成長してる(それはそれは急成長!)米国系の企業とかの社員だったら嬉しいかもしれない。
けど別に上場とか遠い夢のまた夢な会社や、もう結構成長しきっててもうそんな大胆には株価とか上がらない会社、
自分がどんなに頑張っても大して株価に影響ない会社、
未上場なら、そもそも自分が上場させてやる!!っていう気持ちになれない会社、
いまいち社長がその辺うとい、
ぶっちゃけ自分もその辺うとくてどう頑張っていいか分からないけどなんとなくSOくれるから貰ってる、
とかだと、正直貰っててもただの紙切れだから、あんまり素敵だとは思わないな。

自分の所属してる会社にもよるけれど、もうある程度大きな会社だったら私は制限付き株式の方が嬉しいな。
分かりやすいし何よりちょっとはお金になるしね。

ってことで今度こそ制限付き株式のまとめをしたいと思うのです。
今度ね!

うららのぼやき


私、「経験が大事だから!!」とかいって凄い安く人を雇用しようとする姿勢は非常に嫌悪を覚えるけれど、
一方で多少大企業と比べて給与が低くても、
他のなんたら不動産とかなんたら商社とかなんたら銀行とか行ってる人達が出来ないような経験は、使い様とマインドによっては後から大きな財産になると思います。
だから、初任給とか、インセンティブだけを見て就職したり転職したりは凄く反対です。それでとっても不幸な人をすでに何人も知ってるし、胸が苦しくなります。
でも一方で、お金も非常に重要な部分であることには変わりありません。
前回のエントリーでも触れましたが、我々の世代は親世代と同じ様な暮らしをする為には生涯で約7000万くらい多く稼ぐ必要があります。
今10代の人はもっと悲惨です。9000万とかそういうレベルになります。
http://www.mynewsjapan.com/reports/512 これをみてね)

私達が働ける年数は、そんなに差異がありません。
するとどれだけ働いている間に稼げるかが重要になってきます。
一年あたり、一ヶ月当たり、一時間あたりに稼げる金額を上げる必要があります。

しかし、普通に暮らしていたら私達日本人の給与はどんどん下がっていきます。
上がらない=下がる と同義だからです。
きっとこの就職氷河期で、職にありつけただけでも胸をなで下ろしている人はたくさんいると思います。
でも、もう上のポジションもないし、
そんな高い給料払える程の体力のある会社なんてそうそうたくさんはありません。

私寿退社するから!
とか思ってる女性も、将来の旦那がちゃんと稼いでくれなかったらどうですか?
慶應ボーイと結婚したって、その子がいわゆる慶應ボーイになってくれるかなんて分かりませんよ。
うーーん誤算!みたいな事もきっとあるはず。あああ。。。

まぁうちは、
旦那には全く期待せず、私が全力疾走する気まんまんです!
主夫万歳!!!エプロン男子万歳!!!!

じゃば!

2010年7月23日金曜日

超簡単なストックオプションと制限付き株式の話(1)

社会人になって約四ヶ月。
いわゆるITスタートアップ(ベンチャーというよりなんだかイケテルっぽい)と言われてる会社に入り、
先月退職(はやいねーうん。)したわけですが、
今日はその中でちょろりと学んだスタートアップの報酬について書き書きしたいと思います。

「俺は成長したいから絶対ベンチャーだぜ!」
と思ってる人にも、ちょいと知ってて困る事ではないと思うのですです。
なぜかというと、
「すとっくおぷしょん」って言葉は、
ベンチャーの報酬体系によーく使われる、「なんだか儲かりそうな言葉」だからです。

本当に儲かるのでしょうか?
儲かるとしたらどういうケースで儲かるでしょうか?
儲からない場合はどんな場合なのでしょうか?
なんてことをつらつら書いてみます。

※ちなみに私は所謂ブロガーではないので、ぶっちゃけ読みにくかったりわけわかめだったりするかも知れません。
悪しからず。頑張ります。

ストックオプションとは


wikiさん曰く、

ストックオプション(英: stock option)とは、本来は新株予約権と同義であるが、特にカタカナで「ストックオプション」と書く場合には、会社(企業)の役員や従業員が、一定期間内に、あらかじめ決められた価格で、所属する会社から自社株式を購入できる権利(英語で言うemployee stock option)を指す。
株価が上がれば上がるほど、従業員や役員が得られる利益も大きくなるため、業績に貢献した役員らのボーナス(賞与)として利用する企業が多い。


という事なのですが、あまりに実感が沸かないので、うらら的な馬鹿でも分かる(りそう)な言葉で言うと、

「株価は当然上がったり下がったりするわけだけど(上場会社の場合)、
ストックオプションがあれば、X円でいつでもこの会社の株を買ってもいいんだよ!、っていう権利」

の事を言います。

例えばAという会社の株価が、現在
1株=10万円
だとします。

「あ、俺去年会社から
『1株=5万円』
 で株を買える権利を貰ってたんだ!何株買えるんだったかなぁ。。。
 お、20株!!っていう事は…」

と思いだした従業員A。
つまり、

本当は10万円もするもの(現在)を、
5万円で、
20個まで買える権利

を彼は持っているので、
100万円を使って20株手に入れて、すぐそれを市場で売れば、
20株×10万円=200万円 で、
100万円の利益になります。

当然従業員Aは喜びます。
ボーナスみたいなもんですからね。
ハワイでにでも家族旅行に行くんじゃないでしょうか。

このストックオプションという制度は、
このようにあらかじめ決められた価格で株を購入出来る権利を指し、
多くの外資系企業やIT企業、wikiさん曰く大和証券さん等の大手金融等で
優秀な人材を集める為のツールとして役立てられています。
また、まだ未上場のベンチャー企業等でも、上場益を見越した上でこのストックオプションという制度が広く導入されています。
ちまちましか動かない上場企業の株価よりも、上場する時に
どかあああああああああああんと(例えば100倍とかね)跳ね上がる株のストックオプションの方が、なんだかおいしそうじゃありませんか。

はい、ここまでがストックオプションの簡単な説明。
きっと社会人なら誰でも知ってる事なので、
なんだか説明する方が恥ずかしいですね。
うららは社会人になってからやっと知りました。(恥)



ストックオプションってすげーってマジ?


確かに、世の中にはこのストックオプションで猛烈に(強烈に)お金持ちになった人がたくさんいます。
某Googleの初期からいたコックさんは、この制度によって世界で二番目にお金持ちのコックさんになったらしいですし、
世界の大企業のCなんらたらO(CEOとかCTOとか)は、現金所得のうん10とかうん100倍くらいの割合でオプションからの利益を得ているようです。
うん千万ドルとか、凄まじいですね。(それこそeBayとかoracleとかそういうレベルですが)

でも、ストックオプションてそんなにすげーのでしょうか?
最近ソーシャルアプリ業界なんかでも
「プラットフォーム(GREEやmixi、DeNA)よりも凄い時価総額で上場する事も不可能ではない」
なんて言われちゃって、俺たちもITスタートアップとして上場して世界に出るぞー!
みたいな気運が凄く高まっています。
ともすると、当然、
上場した時にもの凄い利益が出るストックオプションに
「なんだかおいしそうな匂い」
が漂います。

でも本当においしい事ばかりか、というとそうではありません。
そこを十分に理解して、自分の報酬体系を考えてみて欲しいと思います。

ストックオプションは、先ほども記述した通り、
株価を一定の額で購入が出来、(行使する、と言います。英語ではexerciseと言います。)
それを株価が上昇した時に売却する事で利益を得ます。

つまり、

1)(上場企業の場合)株価が上昇しないと利益にならない。
※行使して(お金を払って株を手に入れて)、売却しても、損になってしまうので行使しない。よって価値は0。
2)(未上場の場合)上場しないと紙キレ
※市場でしか売り買いが出来ないので、市場に上場していないと全く価値が無い。


という負の側面を持ち合わせています。

日経とかちょっと読んでる偉い学生さんは、はっとしたんじゃないでしょうか。
上場企業で、ガンガン株価が上がっている会社はそうそう多くないです。
上がってても、「ちまっちまっ」と上がったり、時に下がったりを繰り返しています。
日経平均がああああああとかよくテレビで言ってますが、現在そんなに株価がバブっていう企業は多くありません。
ソーシャルアプリという、金脈と呼ばれている業界でも、先日GREEさんの株価が下がったというニュースが話題になりました。

未上場企業に至っては、これは本当に博打の何者でもありません。
日本ではライブドアの一件以来、特にIT企業の上場は非常に困難になったと聞きます。
またアメリカは特に上場条件が厳しく、特にIT関連の条件は大変厳しいものです。
リーマンショックが記憶に新しいですが、あのような惨劇を繰り返さないためにも、市場はより、長期的に安定して成長する株を求めています。
その中で、競争が激しく参入障壁の低いIT業界は上場が難しい。
なので、ストックオプションに期待を寄せすぎると、とても辛い事になります。

一番あってはならないと思うこと。


それは、未上場企業など、経営陣が「出来れば従業員の給料は抑えられるだけ抑えたい」と思ってるようなところに入社した時に、「うちで頑張れば数年後にはお金持ちになってるから」といってストックオプション等をちらつかせ、給料をどこまでも下げていく事。
あるいは、お金よりも経験が重要だから、とかなんとかいって、せっかく責任重大な仕事を任せられたにも関わらず、給料は変わらず責任ばかりが大きくなり、さらにその成功報酬がストックオプション頼り等というケース。
そんな酷いところはそんなに無いかもしれませんが、無くはないケースという事には変わりありません。
同様に、投資家にたくさんの資金を頂いて起業した社長や創業メンバーにも同じ事が当てはまります。
ストックオプションは貰って良いものですが、しかしそれを理由に給与を下げまくられると、大変に苦しい思いをすると思うので、これは是非避けたいものです。
あくまで博打である面を忘れずに。

そんな中で、 もしもストックオプションで一攫千金を狙っているのであれば、 あなたが入ろうしているベンチャー企業が本当に上場出来る程の潜在能力を秘めているのか、よく話を聞いて、社長の力量や従業員のスキル、モチベーション等を見て判断する必要があるでしょう。(それで分かるかって言われると難しいとこですが。)
プラス、自分がそこで働く事でたくさんストックオプションを出すだけの実力がある、努力をする、というのが前提になってきます。

(ぼやき:でもそういうボーナスも何にもなしに役職だけわたされてがんばってねー!って言われて妙な責任感とモチベーションにかられてしまってる人もたくさんいるのです。その場合は、経験だ!と思って喜ぶのが一番良いかもしれません)

こんなところが、
しばしばベンチャーに就職する事が、
「株を買うのと似た様なもの」
と言われる所以かもしれません。
まぁ自分の努力によって報われる可能性もある部分が大きく違いますが、
本質的には似た様な側面を持ち合わせています。
現金と株の配分とかね。


お金の話は興味ない?
でもそんなことも言ってられないですよ奥さん!

なんせ、
ある世代が生涯に政府から受け取る利益と支払う負担を試算したら、
60歳以上の世代は差し引き5,647万円の受益超過
30代は負担のほうがが743万円多く、
20歳未満の世代は負担超が 3,952万円なんですよ。
今の20代、30代は親世代が作った莫大な国と地方の借金を背負い、年金も払った分を貰えない。

ちょっとは色々知ってて損は無さそうです。


では次回は、
ストックオプションとの比較で
「制限付き株式」なるものをまとめてみたいと思います。


実は十分成長した企業では最近こっちを報酬プランにするところが増えています。
こちらに関しては次回。

じゃば!